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【2026年版】相続不動産の売却税金|取得費加算・3000万円控除で節税する方法
2026.10.26相続コラム
親から相続した実家や土地を売ろうとしたとき、多くの方が最初に気にされるのが「相続した不動産を売却したら、税金はいくらかかるのか」という点です。実は相続不動産の売却には相続した人だけが使える節税特例があり、知っているかどうかで手取りが数百万円変わることもあります。この記事では、特例の要件と具体的な計算例を、東京23区の実務の視点も交えて分かりやすく解説します。
相続不動産の売却税金は「売却価格−取得費−譲渡費用」に税率(所有期間5年超なら20.315%)をかけて計算します。節税のポイントは3つです。①親が買ったときの取得費を証明する書類を探す、②相続税を払った人は取得費加算の特例(相続開始から約3年10ヶ月以内の売却)を使う、③親が一人で住んでいた古い家なら空き家の3,000万円特別控除(2027年12月31日までの売却)を検討する。2つの特例は併用できないので、両方を試算してから選びましょう。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【知らなきゃ損】相続不動産売却で使える節税制度5選!税金が数百万円変わる!?
相続不動産の売却で税金がかかる仕組みと税率
まずは土台となる仕組みを押さえておきましょう。相続した不動産を売ったときにかかる税金は、売却で得た利益(譲渡所得)に対する所得税・復興特別所得税・住民税です。売却価格そのものではなく、「利益」に課税されるのがポイントです。なお、相続そのものにかかる相続税とは別の税金なので、相続税を納めた方でも売却益が出れば譲渡所得税がかかります。
譲渡所得の計算式
譲渡所得は次の式で計算します。
- 譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除
- 税額=譲渡所得×税率
「取得費」は亡くなった方(被相続人)がその不動産を買ったときの代金や購入時の手数料など(建物は減価償却後の金額)、「譲渡費用」は仲介手数料・売買契約書の印紙代・測量費・売却のための解体費などです。つまり、取得費と譲渡費用をどれだけ正しく積み上げられるかで、課税される利益が大きく変わります。
税率は所有期間で決まり、親の取得日を引き継ぐ
| 区分 | 所有期間 | 税率(合計) | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% | 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% | — |
相続した不動産は、被相続人が取得した日と取得費をそのまま引き継ぎます。たとえば親が30年前に買った家を、相続した翌月に売ったとしても、所有期間は30年超として扱われます。そのため相続不動産の売却では長期の20.315%が適用されるケースが多く、「相続してすぐ売ると税金が高くなる」という心配は基本的に不要です。ただし、被相続人自身が購入して間もなかった物件などは短期扱いになる可能性があるので、取得日は登記簿や契約書で確認しておきましょう。
取得費が分からないと「売却価格の5%」になる
相続不動産で最も多いつまずきが、取得費が分からない問題です。親が何十年も前に買った家だと、売買契約書が見つからないことは珍しくありません。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算できます。
しかし、これは税金面では不利になりがちです。たとえば売却価格6,000万円なら概算取得費は300万円。実際には親が2,000万円で買っていたとしても、証明できなければ300万円としか認められず、差額の1,700万円分にも課税されることになります。この差は税額にして約345万円(1,700万円×20.315%)にもなります。
取得費を証明する手がかりとしては、次のようなものがあります。
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書・領収書
- 代金の振込記録が残る通帳、住宅ローンの金銭消費貸借契約書
- 新築時の建築請負契約書・設計図書
- 過去の確定申告書の控え(不動産所得を申告していた場合など)
契約書がなくても、他の資料から購入価格を合理的に説明できる場合があります。どこまで認められるかは個別判断になるため、遺品整理で書類を捨ててしまう前に、税理士・当社にご相談ください。
取得費加算の特例:相続税を払った人が使える節税策
相続税を納めた方が相続財産を売却した場合、納めた相続税のうち、売却した不動産に対応する部分を取得費に上乗せできる制度があります。これが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」です。取得費が増えれば譲渡所得が減り、結果として売却時の税金が軽くなります。相続税と譲渡所得税の二重の負担感を和らげるための制度と考えると分かりやすいでしょう。
取得費加算の特例の主な要件
- 相続や遺贈で財産を取得した人であること
- その人に相続税が課税されていること(相続税がゼロの人は使えません)
- 相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却していること
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。そのため、相続開始から約3年10ヶ月以内に売却しないと、取得費加算の特例は使えません。「落ち着いてから売ろう」と考えているうちに期限を過ぎてしまうケースは少なくありません。
なお、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。たとえば相続人が子2人なら4,200万円までは相続税がかからず、その場合はこの特例の対象外になります。一方、東京23区は土地の評価額が高いため、自宅と預貯金を合わせると基礎控除を超え、相続税の申告が必要になるご家庭が地方に比べて多い傾向があります。23区に実家がある方は、まず自分が相続税を払う立場かどうかを確認することが特例活用の第一歩です。
加算できる金額の計算方法
加算できる金額は、おおむね次の考え方で計算します。
- 加算額=その人の相続税額×(売却した不動産の相続税評価額÷その人の相続税の課税価格(債務控除前))
つまり、「自分が払った相続税のうち、売った不動産が占める割合の分」を取得費に足せるイメージです。細かな計算方法や端数処理、小規模宅地等の特例を使った土地の扱いなどは個別の確認が必要ですので、具体的な金額は税理士にご確認ください。
計算例:取得費加算で税金はどれくらい変わる?
次のようなケースで比較してみます(計算を分かりやすくするための仮の数字です)。
- 売却価格:5,000万円(取得費は不明のため概算取得費5%=250万円)
- 譲渡費用(仲介手数料・測量費など):200万円
- 相続人Aさんの相続税額:600万円
- Aさんの課税価格:6,000万円、うち売却した不動産の評価額:3,000万円
| 項目 | 特例なし | 取得費加算あり |
|---|---|---|
| 取得費 | 250万円 | 250万円+加算300万円=550万円 |
| 譲渡所得 | 4,550万円 | 4,250万円 |
| 税額(20.315%) | 約924万円 | 約863万円 |
加算額は600万円×(3,000万円÷6,000万円)=300万円で、税額は約61万円下がる計算です。相続税額が大きいほど、また相続財産に占める売却不動産の割合が高いほど、効果は大きくなります。
空き家の3,000万円特別控除:要件と計算例
もう一つの大きな特例が「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」、通称空き家の3,000万円特別控除です。親が一人で住んでいた古い家を相続して売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けます。相続税を払っていなくても使える点が、取得費加算の特例との大きな違いです。
主な要件
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物=マンションは対象外)
- 相続の開始直前に、被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入所などの例外あり)
- 相続後、売却までの間に事業・貸付・居住の用に供していないこと
- 売却時に家屋の耐震リフォームをするか、家屋を取り壊して更地で売ること
- 売却代金が1億円以下であることなど
- 2027年12月31日までの売却であり、かつ相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
2024年1月以降の売却からは、買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修や取壊しを行う場合も対象になりました。これにより「古家付きのまま売り、解体は買主が行う」という売り方でも特例が使えるようになり、売主の解体費の立て替え負担が軽くなっています。また、相続人が3人以上で共有して売る場合、控除額は1人あたり2,000万円になります。
要件は細かく、住民票の状況や老人ホーム入所時の扱い、市区町村から発行される「被相続人居住用家屋等確認書」の取得など、実務上の確認事項が多い制度です。適用できるかどうかは事前に税理士・当社にご確認ください。
計算例:3,000万円控除で税金がゼロになるケース
- 売却価格:3,000万円(古家付き土地を売却、取得費は不明で概算5%=150万円)
- 譲渡費用(仲介手数料・解体費など):300万円
- 相続人は1人、特例の要件をすべて満たすと仮定
| 項目 | 特例なし | 空き家の3,000万円控除あり |
|---|---|---|
| 譲渡所得(控除前) | 2,550万円 | 2,550万円 |
| 特別控除 | 0円 | 2,550万円(上限3,000万円) |
| 税額(20.315%) | 約518万円 | 0円 |
このケースでは税金が約518万円からゼロになります。東京23区の住宅地は土地価格が高く、取得費が概算5%になると譲渡所得が膨らみやすいため、この特例のインパクトは特に大きくなります。一方で、売却代金1億円以下という要件にかかるケースや、昭和56年6月以降に建てられた家で要件を満たさないケースもあるため、早めの確認が欠かせません。
取得費加算と3,000万円控除はどちらを選ぶ?相続不動産の売却税金を比較
ここまで紹介した2つの特例は、同じ不動産の売却で併用することはできず、どちらか一方を選ぶ必要があります。両方の要件を満たす場合は、税額を試算して有利な方を選びましょう。
| 比較項目 | 取得費加算の特例 | 空き家の3,000万円特別控除 |
|---|---|---|
| 相続税の納税 | 必要(納めた人のみ) | 不要 |
| 対象の不動産 | 土地・建物・マンションなど幅広い | 昭和56年5月31日以前建築の一戸建て(被相続人が一人で居住) |
| 売却期限 | 相続開始から約3年10ヶ月以内 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日まで |
| 節税効果の目安 | 相続税額のうち売却分の割合に応じた取得費の上乗せ | 譲渡所得から最大3,000万円(3人以上は1人2,000万円) |
| 向いているケース | 相続税を多く払った・マンションや賃貸物件を売る | 親が一人で住んでいた古い実家を売る |
判断の目安
- 空き家特例の要件を満たし、譲渡所得が3,000万円前後以下:空き家特例のほうが有利になりやすい
- マンション・賃貸物件・二世帯住宅など空き家特例の対象外:取得費加算の特例を検討
- 相続税額が大きく、売却する不動産の評価額の割合も高い:取得費加算が有利になる可能性があるため両方を試算
また、相続人が複数いる場合は「誰が相続して売るか」でも結果が変わります。遺産分割の段階で、売却予定の不動産を誰が取得するか、共有にするかを決めることが節税の出発点になります。遺産分割協議の前に売却時の税金まで試算しておくと、あとから「この分け方なら特例が使えたのに」という後悔を防げます。
「相続前」と「相続後」どちらで売るのが得か
親が存命のうちに「施設に入ったから実家を売るべきか、相続してから売るべきか」と迷われるご相談も多くあります。結論から言えば、どちらが得かはご家庭の状況次第で、比べるべき税金が複数ある点に注意が必要です。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|家は「相続前」と「相続後」どっちで売るのが得?税金で数百万円の差が出る理由
相続前(生前)に売る場合のポイント
- 親自身の売却になるため、親が住んでいた家なら居住用財産の3,000万円特別控除を検討できる(住まなくなってからの期間など要件あり)
- 売却代金は現金として相続財産になるため、不動産のまま相続するより相続税評価額が高くなりやすい
- 親の判断能力が低下していると、売買契約自体が難しくなる
相続後に売る場合のポイント
- 土地は路線価などで評価されるため、現金より相続税評価額が低くなる傾向がある
- 小規模宅地等の特例で、特定居住用宅地等なら330㎡まで評価額を80%減額できる可能性がある(貸付事業用は200㎡まで50%減)
- 売却時には取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除を検討できる
ここで注意したいのが、小規模宅地等の特例と売却のタイミングの関係です。この特例は、配偶者や同居親族等が取得し、相続税の申告期限まで保有するといった要件があり、申告期限前に売ってしまうと特例が使えなくなる場合があります。持ち家のない別居の子が使える「家なき子特例」にも細かな要件があります。相続税で80%減額を受けるか、売却時の特例を優先するかは、相続税と譲渡所得税をトータルで比べる必要があります。
また、親から子への生前贈与で不動産を移す方法として相続時精算課税もありますが、2024年1月以降は年110万円の基礎控除ができた一方、一度選択すると暦年課税に戻れません。不動産の移転は登録免許税・不動産取得税などのコストもかかるため、安易な生前移転はおすすめしません。いずれも、税理士を交えて総額で試算したうえで判断しましょう。
特例を使い漏らさないための売却手順と注意点
特例は「要件を満たしていたのに、手続きや期限の管理で使えなかった」というケースが少なくありません。相続から売却・申告までの流れを、期限を意識しながら整理します。
相続放棄を検討する場合は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ。不動産だけを放棄することはできず、全財産が対象になります。売却予定の不動産を誰が取得するかは、売却時の特例も踏まえて決めます。
相続人名義に登記しないと売却できません。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、取得を知った日から3年以内に申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
購入時の契約書・領収書、被相続人の住民票の除票、空き家の状況が分かる資料などを集めます。空き家特例は市区町村の確認書が必要なので、所在地の区役所での手続きも見込んでおきます。
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。納税資金が足りない場合は延納・物納の制度もありますが、要件があるため早めに税理士へ相談します。
取得費加算は相続開始から約3年10ヶ月以内、空き家特例は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ2027年末まで)。引き渡しまで数ヶ月かかることも見込んで、余裕をもって動き出します。
特例は確定申告をしてはじめて適用されます。税金がゼロになる場合でも申告が必要です。売却益は住民税や国民健康保険料などに影響することもあるため、あわせて確認しておきましょう。
見落としやすい注意点
- 空き家を貸したり住んだりすると空き家特例が使えない:売却までの「つなぎ」で賃貸に出すと要件を外れます。
- 放置空き家は固定資産税が上がるリスク:特定空家等や管理不全空家に指定され勧告を受けると、住宅用地特例(1/6)が外れて最大6倍相当になる場合があります。
- 売れない土地は国庫帰属制度も選択肢:2023年4月27日開始の相続土地国庫帰属制度は、審査手数料1筆1万4千円+負担金(原則20万円、面積に応じて増額)がかかり、建物がある土地や境界が不明な土地などは対象外です。23区内では売却できるケースが大半ですが、地方の土地をあわせて相続した場合の検討材料になります。
東京23区で相続不動産を売るときの実務の勘所
23区の住宅地では、狭小地・旗竿地・再建築の可否が問題になる土地・隣地との境界が確定していない土地など、売却前に整理すべき論点を抱えた相続物件が少なくありません。境界確定の測量には数ヶ月かかることもあり、特例の期限ギリギリに動き出すと間に合わないリスクがあります。また、古家付きで売るか更地で売るかは、空き家特例の要件と買主層の両方から判断する必要があります。
杉並区和田に拠点を置く当社(株式会社Best to)は、東京23区の相続不動産に特化し、相続登記・税理士との連携・査定・売却までをワンストップでお手伝いしています。「特例が使えるか分からない」「期限までに売れるか不安」という段階からご相談いただけます。売却全体の流れや高く売るコツは、相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツもあわせてご覧ください。
まとめ:相続不動産の売却税金は特例と期限管理で大きく変わる
相続不動産の売却にかかる税金は、「売却価格−取得費−譲渡費用」に税率をかけて計算します。相続した不動産は親の取得日を引き継ぐため、多くは所有期間5年超の20.315%が適用されます。税負担を左右するのは、取得費を証明できるかどうかと、相続人だけが使える特例を活用できるかどうかです。
- 取得費が不明だと売却価格の5%しか認められないため、まずは購入時の書類を探す
- 相続税を払った人は、相続開始から約3年10ヶ月以内の売却で取得費加算の特例を検討する
- 親が一人で住んでいた昭和56年5月31日以前の家は、2027年12月31日までの売却で空き家の3,000万円特別控除を検討する
- 2つの特例は併用できないため、両方を試算して有利な方を選ぶ
- 相続前と相続後どちらで売るかは、相続税と譲渡所得税をトータルで比べて判断する
どの特例も期限と要件が細かく、少しの段取りの違いで数百万円の差が生まれることがあります。個別の税額や特例の適用可否は税理士・当社にご確認ください。東京23区の相続不動産の売却と税金のことなら、相続に強い当社がワンストップでサポートいたします。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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