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【2026年版】相続税が払えない時の対処法|不動産売却・延納・物納の比較
2026.11.01相続コラム
親から不動産を相続したものの、財産のほとんどが自宅や土地で現金が足りず、「相続税が払えない」と頭を抱えている方は少なくありません。特に東京23区は地価が高いため、預貯金は少なくても不動産の評価額だけで相続税がかかるケースが目立ちます。この記事では、納税資金がない時の3つの対処法である「不動産売却・延納・物納」を比較し、期限内に何をすべきかを実務の目線で解説します。
相続税が払えない時の対処法は、主に「不動産を売って現金化する」「延納(分割払い)」「物納(不動産などで納める)」の3つです。延納には担保と利子税がかかり、物納は審査の要件が厳しいため、現金化しやすい東京23区の不動産なら「売却」が有力な選択肢になりやすいのが実情です。ただし、納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と決まっているため、払えないと分かった時点で、すぐに財産の確認と売却準備を始めることが大切です。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【相続税が払えない】中山美穂さん20億の遺産を息子が放棄した理由
相続税が払えない時にまず知っておくべきこと
申告・納付期限は「10ヶ月以内」
相続税の申告と納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。申告だけでなく納付も同じ期限なので、「申告は済ませたけれど、お金は後で払う」ということは原則できません。
10ヶ月は長いように見えますが、葬儀や四十九日、遺品整理、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)、財産の評価などをこなしていると、あっという間に過ぎてしまいます。不動産を売って納税資金をつくる場合は、売却活動から引き渡しまでの期間も必要になるため、実際に使える時間は思ったより短いと考えておきましょう。
払えないまま放置するとどうなるか
納付期限を過ぎると、本来の相続税に加えて延滞税がかかる可能性があります。延滞税は、納付が遅れた日数に応じて増えていく仕組みです。さらに放置すると税務署から督促を受け、それでも納付しなければ、最終的には預貯金や不動産などの財産が差し押さえられることもあります。
差し押さえられた不動産は公売にかけられることがあり、一般的には通常の売却よりも条件が不利になりやすいといわれます。「払えないから何もしない」が最も損をしやすい選択です。具体的な延滞税の計算方法や率は時期によって変わるため、税理士にご確認ください。
まずは「本当に払えないのか」を確認する
「相続税が払えない」と感じていても、財産全体を整理すると、実は手元の資金や相続財産の一部で納税できるケースもあります。逆に、相続税がかからないと思い込んでいたら、不動産の評価額が高くて税額が出てしまった、というケースもあります。まずは次の順番で状況を確認しましょう。
預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、借入金(マイナスの財産)などを一覧にします。不動産は固定資産税の納税通知書や登記簿で所在地と面積を確認します。
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いて、税額がどの程度になるかを税理士に試算してもらいます。
相続した預貯金、生命保険金、相続人自身の資金などで、いくら払えて、いくら足りないのかを明確にします。
不足額と期限までの残り時間を踏まえて、不動産売却・延納・物納のどれで対応するかを検討します。
たとえば法定相続人が3人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。東京23区の戸建てや土地は評価額が高くなりやすく、預貯金が少なくても不動産だけで基礎控除を超えることは珍しくありません。
相続税が払えない時の対処法|不動産売却・延納・物納の比較
納税資金が足りない時の主な選択肢は、不動産売却・延納・物納の3つです。それぞれの特徴を比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 不動産売却 | 延納 | 物納 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 相続した不動産を売って現金化し、一括で納付する | 相続税を年単位の分割で納付する | 金銭の代わりに不動産などの財産で納付する |
| 利用の条件 | 相続人全員の合意と相続登記が必要 | 金銭での一括納付が難しいことなど、所定の要件と担保が必要 | 延納でも金銭での納付が難しいことなど、要件が厳しい |
| 追加の負担 | 売却益が出れば譲渡所得税、仲介手数料など | 利子税がかかる | 収納できる状態に整えるための測量・書類準備など |
| 手元に残るもの | 売却代金から税金・費用を差し引いた現金 | 不動産は手元に残る | 物納した財産は手放す |
| 向いているケース | 使っていない実家や空き地など、手放してもよい不動産がある | 収入が安定していて、不動産を残したい | 売却が難しく、延納でも払えない |
不動産売却:最も自由度が高く、現実的な選択肢
相続した不動産を売却し、その代金で相続税を一括納付する方法です。国の審査を受ける必要がなく、自分たちの判断で進められるのが最大のメリットです。売却代金のうち納税後に残った分は、相続人で分けることもできます。
一方で、売却益が出れば譲渡所得税がかかること、期限内に売れるかどうかは物件の条件や価格設定に左右されることには注意が必要です。東京23区の住宅地であれば、一般的に買い手が見つかりやすい傾向がありますが、旗竿地や再建築不可、借地権付きなど、条件によっては時間がかかることもあります。
延納:不動産を残したい時の分割払い
延納は、相続税を一括で払うのが難しい場合に、一定の要件のもとで年単位の分割払いを認めてもらう制度です。不動産を手放さずに済む反面、担保の提供と利子税の負担があります。また、分割期間中は毎年の納付が続くため、相続人自身に安定した収入があるかどうかが重要です。
「延納すれば何とかなる」と考えて申請したものの、数年後に支払いが苦しくなり、結局は不動産を売ることになった、というケースもあります。延納は「時間を買う」制度であり、税負担そのものが軽くなるわけではない点を理解しておきましょう。
物納:最後の手段と考えておく
物納は、延納によっても金銭で納付することが難しい場合に、不動産などの財産で相続税を納める制度です。現金が用意できなくても納税できる点は魅力ですが、物納は要件が厳しく、申請すれば認められるものではありません。
不動産で物納する場合、境界がはっきりしていない土地、担保が付いている不動産、権利関係で揉めている不動産などは、そのままでは収納されにくいとされています。測量や境界確定、書類の整備に時間と費用がかかることもあります。また、物納は原則として相続税評価額を基準に収納されるため、市場で売ったほうが手元に多く残るケースもあります。物納を検討する場合は、売却した場合との比較を税理士と一緒に行うことをおすすめします。
相続税が払えない時に不動産を売却する手順と税金
3つの対処法のうち、多くの方が実際に選ぶのが不動産の売却です。ここでは、10ヶ月の期限内に売却を進めるための手順と、売却時にかかる税金のポイントを解説します。相続不動産の売却全般については、相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツでも詳しくまとめています。
期限から逆算した売却の流れ
不動産を売るには、まず誰が相続するのか(または共有で相続して売るのか)を決める必要があります。相続人全員の合意がないと売却は進められません。
被相続人の名義のままでは売却できません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、取得を知った日から3年以内に行う必要があります。売却する場合はさらに早めに済ませます。
仲介で市場に出すか、不動産会社の買取で早く現金化するかを、期限と価格のバランスで判断します。
決済(引き渡し)の日に売却代金が入金されます。この入金日が納付期限に間に合うよう、スケジュールを組みます。
売却益が出た場合は、売却した翌年に確定申告を行い、譲渡所得税を納めます。
実務上の目安として、遅くとも相続開始から半年前後には売却活動を始めておきたいところです。仲介での売却は、買い手が見つかるまでの期間に加えて、契約から決済まで一定の期間がかかるのが一般的です。時間が足りない場合は、価格は仲介より低くなりやすいものの、短期間で現金化できる買取も選択肢になります。
売却時にかかる譲渡所得税
不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税がかかります。税率は所有期間によって次のように変わります。
| 所有期間 | 税率 | 内訳 |
|---|---|---|
| 5年超(長期譲渡所得) | 20.315% | 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5% |
| 5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% | — |
ここで大切なのは、相続した不動産は、被相続人(亡くなった方)の取得日と取得費を引き継ぐという点です。親が長年住んでいた家であれば、相続してすぐに売っても、所有期間5年超の長期譲渡所得として扱われるケースが多くなります。
注意したいのは取得費です。親が何十年も前に買った不動産で、購入時の売買契約書が見つからない場合は、売却価格の5%しか取得費として計上できない(概算取得費)ことがあります。その結果、売却益が大きく計算され、譲渡所得税が膨らんでしまいます。実家の片付けをする際は、古い売買契約書や領収書がないか、早めに探しておきましょう。
売却で使える2つの特例
① 取得費加算の特例
相続税を払った人が相続した不動産を売る場合、支払った相続税のうち一定額を取得費に加算でき、その分だけ譲渡所得税を抑えられます。要件は、相続税の申告期限の翌日から3年以内、つまり相続開始から約3年10ヶ月以内に売却することです。納税のために売却する方にとっては、使える可能性が高い特例です。
② 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
親が一人で住んでいた家を相続して売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。主な要件は次のとおりです。
- 2027年12月31日までの売却であること
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど
- 耐震改修または取り壊しを行うこと(2024年以降は、買主が売却の翌年2月15日までに行う場合も対象)
なお、相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が2,000万円になります。取得費加算の特例と空き家の3,000万円特別控除は併用できないため、どちらが有利かは税理士に試算してもらいましょう。
延納・物納を選ぶ前に確認したい判断基準
「先祖代々の土地を手放したくない」「親が住んでいた家を残したい」という気持ちから、売却よりも延納や物納を考える方もいます。ただし、どれを選ぶかは気持ちだけでなく、数字と今後の使い道で判断することが大切です。次の4つの視点で整理してみましょう。
判断基準1:その不動産を今後使う予定があるか
誰も住む予定がない実家や、使っていない土地を延納で残すと、相続税の分割払いに加えて、固定資産税や管理の手間もかかり続けます。空き家のまま管理が行き届かず、特定空家等(または管理不全空家)に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例が外れて固定資産税が最大6倍相当になることもあります。使う予定のない不動産は、納税資金として売却するほうが合理的なケースが多いといえます。
判断基準2:毎年の納付を続けられる収入があるか
延納を選ぶなら、分割期間中に毎年の納付と利子税を払い続ける必要があります。相続人自身の収入、住宅ローンや教育費などの支出、将来の見通しを踏まえて、無理のない計画かどうかを確認しましょう。賃貸アパートなど、相続した不動産自体から家賃収入が見込める場合は、延納との相性が比較的よいこともあります。
判断基準3:売った場合と物納した場合、どちらが手元に残るか
物納は相続税評価額を基準に収納されるのが原則です。東京23区のように市場価格が相続税評価額を上回りやすいエリアでは、市場で売却して現金で納めたほうが、手元に多く残る可能性があります。反対に、売るのが難しい土地であれば、物納が選択肢になることもあります。どちらが有利かは、不動産会社の査定額と税理士の試算を並べて比較するのが確実な判断材料になります。
判断基準4:期限までに準備が間に合うか
延納・物納には申請の期限と必要書類があり、物納では測量や境界確定に時間がかかることもあります。売却を選ぶ場合も、遺産分割協議と相続登記が終わらなければ動けません。どの方法を選ぶにしても、相続人の足並みをそろえ、期限から逆算して早く動き始めることが一番のポイントです。
相続税が払えない事態を減らすための制度と事前対策
すでに相続が発生している方も、これから相続を迎える方も、税負担を軽くする制度を知っておくと選択肢が広がります。主なものを整理します。
| 制度 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 特定居住用宅地等は330㎡まで評価額80%減、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減 | 配偶者や同居親族等が取得し、申告期限まで保有するなどの要件あり(家なき子特例あり) |
| 相続税の基礎控除 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 | 相続人の数え方にはルールがあるため税理士に確認 |
| 相続時精算課税 | 2024年1月以降、年110万円の基礎控除(累計2,500万円の特別控除とは別枠) | 一度選択すると暦年課税に戻れない |
| 相続放棄 | 相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述 | 不動産だけの放棄は不可。全財産が対象 |
小規模宅地等の特例は「売却のタイミング」に注意
自宅の土地に小規模宅地等の特例が使えると、評価額が大きく下がり、相続税そのものが払える水準に収まることもあります。ただし、特例を受けるには申告期限まで保有するなどの要件があるため、納税資金のために急いで自宅を売ると、特例が使えなくなるおそれがあります。どの不動産を売り、どの不動産を残すかは、特例の適用とセットで考える必要があります。売る不動産の選び方は、税理士と不動産会社が連携して決めるのが理想です。
相続放棄は「全部を手放す」選択
相続税が払えないなら相続放棄をすればよい、と考える方もいます。冒頭の動画でも、多額の遺産を相続放棄した著名人の事例を取り上げて解説しています。相続放棄をすれば相続税の負担はなくなりますが、預貯金や自宅などプラスの財産もすべて手放すことになり、不動産だけを放棄することはできません。期限も相続開始を知った日から3ヶ月以内と短いため、放棄を決める前に、売却すれば納税できるのかどうかを早めに確認することが重要です。
生前にできる準備
これから相続を迎えるご家庭であれば、次のような準備で「払えない」事態を減らせます。
- 財産の一覧をつくり、相続税の概算を把握しておく
- 生命保険を活用して、納税資金を現金で準備しておく
- 使っていない不動産は、生前に売却や活用を検討する
- 不動産の購入時の契約書や境界の資料を保管しておく
- 相続時精算課税などの贈与制度を、税理士と相談して検討する
東京23区の相続不動産で納税資金を準備する実務の勘所
東京23区の相続では、「財産の大半が不動産で、現金が少ない」という構成になりやすいのが特徴です。一方で、住宅地としての需要は全体的に底堅い傾向があり、条件を整えれば期限内の現金化を目指しやすいエリアでもあります。実務で押さえておきたいポイントは次のとおりです。
境界・測量は早めに確認する
23区の住宅地は土地が細かく区切られていて、隣地との境界があいまいなままの土地も少なくありません。売却でも物納でも、境界が確定していないと手続きが止まる原因になります。測量や隣地所有者との立ち会いには時間がかかるため、相続が発生したら早めに確認しておくことをおすすめします。
「仲介」と「買取」を期限で使い分ける
時間に余裕があれば、仲介で市場に出して高く売るのが基本です。一方で、期限が迫っている、建物が古くて買い手がつきにくい、相続人が遠方に住んでいて管理できない、といった場合は、不動産会社の買取で早く確実な現金化を図る選択もあります。価格とスピードのどちらを優先すべきかは、納付期限までの残り時間と不足額によって変わります。
税理士・司法書士との連携が成否を分ける
相続税が払えない状況では、相続税の申告(税理士)、相続登記(司法書士)、不動産の売却(不動産会社)がすべて同時並行で進みます。窓口がばらばらだと、「登記が終わらず売却が遅れる」「特例の要件を確認しないまま売ってしまう」といった行き違いが起きがちです。
当社(株式会社Best to)は杉並区和田に拠点を置き、東京23区の相続不動産に特化して、税理士・司法書士と連携したワンストップでのご相談に対応しています。杉並区をはじめとする23区の住宅地では、古い木造の実家や細長い土地など、相続ならではの事情を抱えた不動産も多く扱ってきました。「相続税が払えないかもしれない」と感じた段階で、査定と売却スケジュールの相談だけでもお気軽にお問い合わせください。
まとめ:相続税が払えない時は、期限から逆算して売却・延納・物納を比較する
相続税が払えない時の対処法は、不動産売却・延納・物納の3つです。延納は担保と利子税の負担があり、物納は要件が厳しいため、現金化しやすい東京23区の不動産であれば、売却が有力な選択肢になりやすいといえます。
- 相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内。払えないまま放置すると延滞税や差し押さえのおそれがある
- 売却する場合は、所有期間・取得費の引き継ぎ、取得費加算の特例、空き家の3,000万円特別控除を確認する
- 小規模宅地等の特例や相続放棄の期限など、売却のタイミングに関わる制度も合わせて検討する
どの方法が最適かは、財産の構成、相続人の状況、残された期間によって変わります。迷ったら一人で抱え込まず、早い段階で税理士・当社にご相談ください。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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