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【2026年版】相続した土地を放棄したい|土地だけ放棄できるか・代わりの選択肢
2026.10.27相続コラム
親から相続した土地が遠方で使い道がない、古家付きで管理が負担、固定資産税だけがかかり続ける——そんな理由で「相続した土地を放棄したい」と考える方は少なくありません。ただし、相続放棄は土地だけを選んで手放せる制度ではないため、仕組みを知らずに動くと預貯金まで失ったり、期限切れで選択肢が狭まったりします。この記事では「相続 土地 放棄」でお悩みの方に向けて、土地だけ放棄できない理由と、売却・相続土地国庫帰属制度などの代わりの選択肢を、東京23区の実務の視点で整理します。
相続放棄は預貯金・株式・借金を含む全財産が対象で、土地だけを放棄することはできません。「土地だけ要らない」場合は、①遺産分割協議で他の相続人に取得してもらう、②相続してから売却する、③相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう、の3つが現実的な代替策です。東京23区の土地は買い手が見つかりやすい傾向があるため、まずは売却できるかを確かめてから、放棄や国庫帰属を検討する順番がおすすめです。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【不動産相続】親から売れない土地を相続したらどうする?
相続した土地だけを放棄することはできない
「相続放棄」という言葉から、要らない財産だけを選んで手放せるイメージを持たれがちですが、実際には違います。まずは制度の基本ルールと、「土地だけ相続しない」ための正しい方法を確認しましょう。
相続放棄は「最初から相続人でなかった」ことになる手続き
相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する手続きです。認められると、その人ははじめから相続人ではなかった扱いになります。そのため、土地だけでなく、預貯金・株式・自動車・貴金属といったプラスの財産も、借入金などのマイナスの財産も、すべてまとめて引き継がないことになります。
つまり、「土地は要らないが預金は受け取りたい」という選び方は相続放棄ではできません。預金が1,000万円あり、土地の処分が面倒だという理由だけで相続放棄をすると、その1,000万円も受け取れなくなります。相続放棄は、借金が財産を上回っている場合などに使う「最後の手段」と考えるのが基本です。
「土地だけ相続しない」なら遺産分割協議で調整する
相続人が複数いる場合、土地を引き継がない方法として現実的なのが遺産分割協議です。相続人全員で話し合い、「土地は長男が取得し、預金は次男が多めに取得する」といった形で分け方を決めれば、結果として自分は土地を相続しないことができます。これは家庭裁判所での相続放棄とは別のもので、いわゆる「事実上の放棄」と呼ばれることもあります。
ただし注意したいのは、遺産分割協議で財産を受け取らないと決めても、借金などの債務は債権者との関係では法定相続分で引き継がれる点です。協議の中で「借金は長男が払う」と決めても、債権者がそれに同意しない限り、他の相続人も請求を受ける可能性があります。債務がある可能性があるなら、遺産分割協議で済ませるか、家庭裁判所で相続放棄をするかは慎重に判断してください。
相続放棄をすると次の順位の親族に相続権が移る
相続放棄は、自分だけの問題では終わりません。子ども全員が放棄すると、次は親(直系尊属)、親もいなければ兄弟姉妹(またはその子)へと相続権が移ります。土地を誰も引き継がないまま、叔父・叔母やいとこに突然相続の話が回ってくるケースもあるため、放棄する場合は親族への事前連絡が欠かせません。
また、相続人全員が放棄して誰もいなくなった場合、土地は最終的に「相続財産清算人」の選任を経て処理されます。清算人の選任を申し立てる場合は家庭裁判所への予納金が必要になることがあり、金額は事案によって異なります。「放棄すれば土地のことは一切考えなくてよい」とは限らない点を押さえておきましょう。
さらに、相続放棄をした人でも、放棄の時点でその土地や建物を現に占有している場合は、次に管理する人へ引き渡すまで保存(管理)する義務を負います。実家に住んでいた相続人や、鍵を預かって管理していた相続人は、放棄後もしばらく責任が残り得ることに注意が必要です。
相続した土地を放棄するか迷ったときの判断基準
相続した土地を放棄するかどうかは、「土地が要るか要らないか」だけで決めるものではありません。相続財産全体の中身、土地の売れやすさ、相続税、期限の4つを並べて判断します。
判断軸1:プラスの財産とマイナスの財産のバランス
最初に確認したいのは、財産全体がプラスかマイナスかです。預貯金・有価証券・不動産・保険などのプラスの財産と、借入金・未払いの税金・連帯債務などのマイナスの財産を一覧にします。借金が明らかに財産を上回るなら相続放棄、財産が上回るなら相続したうえで土地を処分するのが一般的な考え方です。どちらか分からない場合は、プラスの財産の範囲で債務を引き継ぐ「限定承認」という方法もありますが、相続人全員で申述する必要があり手続きも複雑なため、専門家への相談をおすすめします。
判断軸2:その土地は本当に「売れない土地」か
地方の山林や原野、接道していない土地などは買い手が見つかりにくいことがあります。一方、東京23区内の宅地は、古家付き・狭小地・旗竿地・再建築不可といった条件があっても、価格を調整すれば買い手が見つかる傾向があります。「売れないから放棄しかない」と思い込む前に、不動産会社に売却可能性と査定額を確認するだけで、判断材料が大きく変わります。
判断軸3:相続税がかかるか、払えるか
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。財産の合計がこれを超えると相続税の申告が必要になり、申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。都内の土地は評価額が高くなりやすく、「現金が少なく土地が多い」相続では納税資金が足りないこともあります。
納税資金が不足する場合も、すぐに相続放棄を選ぶ必要はありません。土地を売却して納税資金をつくる、延納や物納の制度を検討する、といった選択肢があります。自宅の土地であれば、配偶者や同居親族が取得するなどの要件を満たすと「小規模宅地等の特例」で330㎡まで評価額を80%減らせる場合もあります。適用の可否は個別に異なるため、税理士にご確認ください。
相続税が払えないことを理由に、多額の遺産を相続放棄した事例については、次の動画でも解説しています。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【相続税が払えない】中山美穂さん20億の遺産を息子が放棄した理由
判断軸4:期限(3ヶ月・10ヶ月・3年)
相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内、相続税の申告は10ヶ月以内、相続登記は取得を知った日から3年以内が期限です。特に3ヶ月は短く、財産調査が終わらないうちに過ぎてしまうことがあります。事情によっては家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられる場合もありますが、相続財産を売却・処分すると相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄の可能性があるうちは、土地や家財を勝手に処分しないでください。
4つの判断軸を踏まえた、主な選択肢の比較は次のとおりです。
| 選択肢 | 土地以外の財産 | 費用・負担の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 相続放棄 | すべて受け取れない | 申述の実費は少額。ただし次順位への影響あり | 借金が財産を上回る |
| 遺産分割で他の相続人が取得 | 受け取れる | 協議の手間。債務は債権者との関係で残る | 土地を使いたい相続人がいる |
| 相続して売却 | 受け取れる | 仲介手数料・登記費用・譲渡所得税など。売却代金が手元に残る | 23区など需要がある土地 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 受け取れる | 審査手数料1筆1万4千円+負担金(原則20万円〜)。建物は解体が前提 | 売却も活用も難しい土地 |
代わりの選択肢①相続してから売却する
相続した土地を手放す方法として、最も選ばれているのが売却です。国庫帰属が「費用を払って引き取ってもらう」のに対し、売却は「代金を受け取って手放す」方法なので、需要のある土地なら第一候補になります。
売却までの流れ
戸籍で相続人を確定し、財産目録を作成します。土地の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書で、地番・面積・名義を確認しておきます。
誰が土地を取得するかを決め、相続登記で名義を変更します。売却するには、原則として相続人名義への登記が先に必要です。
仲介で市場の買い手を探すか、不動産会社に直接買い取ってもらうかを選びます。境界の確定や古家の扱い(現況渡し・解体)もこの段階で決めます。
契約・決済を行い、代金を受け取ります。共有で相続した場合は、共有者全員の同意と署名が必要です。
利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年に確定申告をします。特例を使う場合も申告が必要です。
売却時の税金と使える特例
土地を売って利益が出ると、譲渡所得税がかかります。税率は所有期間で変わり、5年超なら20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下なら39.63%です。相続した不動産は、被相続人(親など)の取得日と取得費を引き継ぐため、親が長く所有していた土地なら、相続直後に売っても5年超の税率になるのが一般的です。
注意したいのが取得費です。親が昔いくらで買ったか分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費にできますが、その分利益が大きく計算され、税額が膨らむことがあります。古い売買契約書や領収書が実家に残っていないか、売却前に探しておくことをおすすめします。
ほかにも、相続税を納めた方なら、相続開始から約3年10ヶ月以内(申告期限の翌日から3年以内)の売却で、納めた相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。また、親が一人で住んでいた昭和56年5月31日以前建築の家と土地を売る場合は、要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」の対象になり得ます。家を取り壊して土地として売る場合や、2024年以降は買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修・取り壊しをする場合も対象になり得ます。期限は2027年12月31日までの売却、かつ相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円です。
これらの特例は期限が絡むため、「いつ売るか」で手取りが大きく変わることがあります。実際の税額や特例の可否は、税理士・当社にご確認ください。売却の手順や税金、高く売るコツは相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツで詳しくまとめています。
東京23区で「売れにくい土地」を売るときの勘所
23区内でも、間口が狭い旗竿地、建築基準法上の道路に2m以上接していない再建築不可の土地、借地権が付いた土地、相続人の共有になっている土地などは、一般の買い手には敬遠されやすくなります。こうした土地は、隣地の所有者に打診すると敷地拡大のメリットがあるため話がまとまりやすいことがあります。また、再建築不可や借地などの扱いに慣れた不動産会社による買取であれば、仲介より価格は下がりやすいものの、短期間で現況のまま手放せる場合があります。
当社は杉並区和田に拠点を置き、東京23区の相続不動産を専門に扱っています。杉並区・中野区・世田谷区などの住宅地では、古家付きの土地や狭い道路に面した土地の相談が多く、境界確認や古家の解体、税理士・司法書士との連携まで一括で進めるケースが一般的です。「売れない」と言われた土地でも、売り方を変えると買い手が見つかることがあります。
代わりの選択肢②相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
売却も活用も難しい土地の受け皿として、2023年4月27日に始まったのが「相続土地国庫帰属制度」です。相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえます。相続放棄と違い、預貯金などほかの財産は相続したまま、土地だけを手放せる点が大きな特徴です。
費用と主な要件
費用は、申請時の審査手数料が1筆あたり1万4千円、承認された場合の負担金が原則20万円です。負担金は土地の種類や面積に応じて増える場合があり、市街地の宅地など面積が広い土地では20万円を上回ることがあります。審査は法務局が行い、申請すれば引き取ってもらえるわけではありません。
引き取ってもらえない土地の代表例は次のとおりです。
- 建物が建っている土地(古家は解体してから申請する必要があります)
- 抵当権などの担保権が設定されている土地
- 隣地との境界が明らかでない土地、所有権の範囲に争いがある土地
- 通路など他人の利用が予定されている土地、土壌汚染がある土地
- 管理や処分に過分な費用・労力がかかる崖地や埋設物がある土地 など
東京23区の土地で国庫帰属を使うべきか
23区内の土地で国庫帰属を検討する場合、まず古家の解体費用と境界確定の費用がかかります。そのうえで手数料と負担金を払って「無償で国に渡す」ことになるため、売却すれば代金が入る土地を、費用をかけて手放すことになりかねません。都内の宅地は、多少条件が悪くても売却や買取で値段がつくことが多いため、国庫帰属は「売却を試みても買い手がいない」「共有者や隣地とも話がまとまらない」といった場合の選択肢と考えるのが現実的です。
一方、親が地方に持っていた山林や農地、別荘地などを都内在住の相続人が引き継いだ場合は、国庫帰属が有力な選択肢になります。相続財産に23区の自宅と地方の土地が混在している場合は、都内の土地は売却、地方の土地は国庫帰属といった組み合わせで考えると整理しやすくなります。なお、農地や森林は要件や審査の観点が宅地と異なるため、申請先の法務局への事前相談が役立ちます。
相続した土地を放置した場合のリスク
放棄も売却もせず「とりあえずそのまま」にしておくと、時間の経過とともにリスクが積み上がります。ここでは代表的な3つを確認します。
相続登記の義務化と過料
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。義務化以前に相続した土地も対象になるため、親の代から名義が変わっていない土地がある場合は早めに確認しましょう。名義が故人のままでは売却も国庫帰属の申請も進められず、代替わりで相続人が増えるほど話し合いも難しくなります。
固定資産税と空き家の負担
土地を持っている限り、固定資産税(23区では都市計画税も)は毎年かかります。古家付きの土地は、住宅用地の特例で土地の固定資産税が軽減されていますが、管理が行き届かず「特定空家等」や「管理不全空家」に指定され、勧告を受けると特例(1/6)が外れ、土地の税額が最大6倍相当になることがあります。「税金を安くするために家を残しておく」という判断が、かえって負担増につながる場合もあります。
近隣トラブルと管理責任
住宅が密集する23区では、雑草や樹木の越境、ブロック塀の老朽化、不法投棄、空き家への侵入などが近隣トラブルに直結しやすくなります。所有者として損害賠償を求められるおそれもあり、遠方に住んでいて定期的に見に行けない場合は管理委託の費用もかかります。使う予定がないなら、早めに方針を決めることが結果的に負担を減らします。
相続土地の放棄・売却・国庫帰属を決めるまでの進め方
実際に相談を受ける中で、後悔が少ないのは「期限から逆算して、情報を集めてから決める」進め方です。目安となる順番を整理します。
通帳、固定資産税の納税通知書、借入の契約書、郵便物などから財産と債務を一覧にします。土地は名寄帳を取り寄せると、把握していなかった土地が見つかることもあります。
不動産会社に査定を依頼し、売れるか・いくらか・どの売り方が向くかを確認します。この段階では土地を処分せず、情報収集にとどめます。
借金が上回るなら相続放棄、そうでなければ相続を前提に進めます。迷う場合は期間の伸長を家庭裁判所に申し立てられるかを司法書士・弁護士に相談します。
誰が土地を取得するかを決め、相続税がかかる場合は申告・納付をします。売却代金を納税に充てる場合は、スケジュールに余裕を持って売却活動を始めます。
相続登記を済ませ、売却または国庫帰属を進めます。取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除を使う場合は、それぞれの期限も確認します。
この流れで重要なのは、相続放棄の判断(3ヶ月)より前に、土地が売れるかどうかの見通しを持っておくことです。「売れない土地だと思って放棄したが、実は値段がつく土地だった」という事態は、査定を一度取るだけで防げることが多いからです。
当社は相続に強い不動産会社として、査定・境界確認・解体・売却から、提携する税理士・司法書士との連携までワンストップで対応しています。相続した土地の扱いに迷っている段階のご相談も可能です。
まとめ:相続した土地を放棄したいときは「手放し方」の比較から
相続した土地を放棄したいと考えても、相続放棄は全財産が対象のため、土地だけを放棄することはできません。土地だけを引き継がないためには、遺産分割協議で他の相続人に取得してもらう、相続してから売却する、相続土地国庫帰属制度を使う、といった代わりの選択肢を比較することが大切です。
- 相続放棄は「借金が財産を上回る」場合の手段。3ヶ月以内に家庭裁判所へ。財産を処分すると放棄できなくなるおそれがある
- 東京23区の土地は売却で値段がつくことが多く、税金の特例も期限内なら活用できる
- 国庫帰属は建物の解体や負担金が必要。売却が難しい土地の受け皿として考える
「相続 土地 放棄」で迷ったら、まずは土地の売却可能性と財産全体を確認し、期限から逆算して判断しましょう。東京23区の相続不動産については、杉並区の株式会社Best toまでお気軽にご相談ください。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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