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【2026年版】不動産を使った相続税対策|2027年改正で使えなくなる手法
2026.10.29相続コラム
「相続税対策には不動産が効く」と聞いて、賃貸マンションの購入や土地活用を考えている方も多いと思います。ただ、不動産を使った相続税対策は2027年に大きな曲がり角を迎え、これまで定番だった手法の一部は効果が薄れる見込みです。この記事では、改正で何が使いにくくなるのか、改正後も使える対策は何かを、東京23区の相続不動産の実務の目線で整理します。
2027年の改正(見込み)で、「相続の直前に賃貸物件や小口化商品を買って、評価額を下げる」手法は効果が大きく薄れる方向です。これからの対策は、不動産を新しく買うことより、すでに持っている不動産を整えることが中心になります。具体的には、小規模宅地等の特例の要件をそろえる、生前贈与を計画的に使う、納税資金を用意して遺産の分け方を決めておく、相続後に使える売却の特例を期限内に使う、の4つです。個別の税額は、税理士・当社にご確認ください。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【緊急】不動産を使った相続税対策が2027年からほぼできなくなります。何が変わるのか正直に話します
不動産の相続税対策が効いてきた理由と「2027年改正」の中身
そもそも、なぜ不動産で相続税が下がるのか
相続税は、亡くなった方の財産を「相続税評価額」に換算し、その合計に税率をかけて計算します。現金や預金は、額面がそのまま評価額になります。一方、土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに評価するため、実際に売れる価格(時価)より評価額が低くなりやすいという特徴があります。
人に貸している土地や建物は、借りている人の権利がある分、さらに評価が下がります。そのため「現金を不動産に替えるだけで評価額が下がる」「借入をして賃貸物件を建てれば、さらに下がる」という考え方が、長く相続税対策の定番になってきました。特に東京23区は、路線価と実際の取引価格の差が大きくなりやすい地域です。この差を利用した手法が数多く提案されてきました。
2027年の改正で見直される方向にあるもの
この時価と評価額の差を大きく使った節税は、以前から問題視されてきました。2025年12月に公表された税制改正大綱では、相続開始前の一定期間内に取得した貸付用不動産を、路線価ベースではなく時価に近い水準で評価する方向が示されています。報道や大綱の内容では、「相続開始前5年以内の取得」が対象とされ、2027年1月以降の相続から適用される見込みとされています。不動産小口化商品(任意組合型など)も、同じように時価ベースでの評価に見直す方向です。
ただし、対象期間や評価の計算方法、経過措置の扱いは、法令や通達で最終的に決まります。この記事を書いている2026年10月時点の情報をもとにしているため、実際に判断するときは、最新の法令・通達を税理士に確認してください。
見直しの背景にある「行き過ぎた節税」への対応
以前から、評価額があまりにも不自然だと税務署が判断した場合、路線価による評価を認めず、鑑定評価などの時価で課税し直す運用(いわゆる総則6項)がありました。最高裁で、相続直前の借入と賃貸マンション購入による節税が否認された判決が出たこともあり、この流れは強まっています。区分所有マンションの評価方法も、すでに2024年から見直されました。今回の改正は、こうした「個別に否認する」やり方から、ルールそのものを変えて差を小さくする方向へ進むものと考えられます。
2027年以降に使えなくなる・効果が薄れる手法
では、具体的にどの手法が影響を受けるのでしょうか。代表的なものを一覧にしました。「効果が薄れる」とは、評価額を下げる効果が小さくなる、または否認されるリスクが上がるという意味です。
| 手法 | これまでの考え方 | 改正後の見通し |
|---|---|---|
| 相続直前の賃貸マンション・アパート購入 | 現金を不動産に替え、路線価と貸家評価で大きく下げる | 取得から一定期間内は時価に近い評価となり、効果は限られる見込み |
| 不動産小口化商品の購入 | 少額で不動産評価の差を利用できる | 時価ベースでの評価に見直す方向。効果は大きく薄れる見込み |
| 借入をして賃貸物件を取得 | 借入金は債務として差し引かれ、物件は低く評価される | 物件の評価が時価に近づくため、差がほぼ出なくなる可能性 |
| タワーマンションなど区分マンションの購入 | 高層階ほど時価と評価額の差が大きい | 2024年に評価方法が見直し済み。さらに貸付用は今回の改正の対象となり得る |
| 長く持っている土地に賃貸住宅を建てる | 貸家建付地・貸家評価で下げる | 取得時期や建築時期によって扱いが変わる可能性。個別に確認が必要 |
「改正前の駆け込み購入」は慎重に
「改正前に買えば間に合うのでは」というご相談もいただきます。しかし、取得から一定期間内の物件が対象になる仕組みなら、改正前に買った物件でも、相続のタイミングによっては対象になる可能性があります。経過措置の内容によっても結論が変わります。
また、節税目的で買った物件には、税金以外のリスクもあります。借入の返済、空室、修繕費、売りたいときに想定した価格で売れないリスクは、相続税が減る額より大きくなることがあります。相続税を数百万円減らすために、家族が数千万円の借入と管理の手間を引き継ぐことになっては意味がありません。購入を考えるなら、税理士と「節税額」「賃貸の収支」「売却時の手取り」の3つを並べて試算するのが最低限の手順です。
長く持っている不動産は影響が小さい傾向
改正の対象は「相続の前に新しく取得した貸付用不動産」が中心とされています。そのため、何十年も前から持っている自宅の土地や、親の代から続く貸地・アパートは、影響が比較的小さいと考えられます。東京23区で相続のご相談が多いのは、まさにこのタイプの不動産です。慌てて新しい物件を探すより、まずは手元の不動産の評価と使える特例を確認するほうが、実際に効果につながりやすいといえます。
2027年改正後も有効な不動産の相続税対策
改正後の相続税対策は、「評価の差で下げる」から「制度を正しく使う」「相続の時に困らないよう準備する」へ重心が移ります。ここでは、不動産をお持ちの方が引き続き検討できる対策を5つ紹介します。
対策1:小規模宅地等の特例を使えるように整える
不動産の相続税対策で、もっとも効果が大きくなりやすいのが小規模宅地等の特例です。亡くなった方の自宅の土地(特定居住用宅地等)は330㎡まで評価額を80%減、人に貸している土地(貸付事業用宅地等)は200㎡まで50%減にできます。路線価の高い東京23区では、この特例を使えるかどうかで相続税額が大きく変わります。
ただし、誰が取得しても使えるわけではありません。自宅の土地なら、配偶者や同居している親族などが取得し、申告期限まで持ち続けるといった要件があります。持ち家がない親族が使える「家なき子特例」もありますが、要件は細かく決まっています。「誰が自宅を相続するか」を生前に決めて、遺言で残しておくことが、改正後も有効な対策になります。同居や住所の状況で結論が変わるため、税理士・当社にご確認ください。
対策2:すでに持っている土地の使い方を見直す
使っていない土地や古い貸家がある場合は、今の使い方が合っているかを見直します。たとえば、空き地のままでは評価は下がりませんが、きちんと賃貸事業として使っていれば、貸付事業用の特例や貸家評価の対象になる可能性があります。ただし、相続の直前に貸し始めた土地は、特例の対象から外れるルールもあります。思い立ったときにすぐ始めるより、時間をかけて計画的に進めることが大切です。
反対に、収益が出ていない古いアパートや管理が大変な土地は、「持ち続けること」自体が家族の負担になります。生前に売って現金化したり、使いやすい土地に買い替えたりするほうが、相続全体ではプラスになることもあります。
対策3:生前贈与と相続時精算課税を組み合わせる
財産そのものを生前に移す方法も、引き続き有効です。相続時精算課税は、2024年1月以降、年110万円の基礎控除が、累計2,500万円の特別控除とは別に使えるようになりました。この基礎控除の範囲内の贈与は、相続財産に加算されません。不動産そのものや、不動産を買う・直すための資金を移す方法としても検討できます。
注意点は、一度、相続時精算課税を選ぶと暦年課税に戻れないことです。暦年贈与の生前贈与加算の期間も、近年延長されています。どちらを選ぶべきかは、財産の額や家族の人数、不動産の値上がりの見込みで変わります。制度の詳しい比較は、精算課税をテーマにした別の記事で解説しています。本記事では「対策の選択肢の一つ」として押さえておいてください。
対策4:納税資金と遺産分割の準備
不動産が多い相続でよくあるのが、「相続税は払える額なのに、現金が足りない」という問題です。相続税の申告と納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期間に、不動産を売って現金を用意するのは、思った以上に時間がかかります。延納や物納の制度もありますが、使える条件があり、手続きにも手間がかかります。
また、遺産の分け方が決まらないと、小規模宅地等の特例など一部の特例が使いにくくなる場合があります。「税金を減らす対策」と同じくらい、「もめずに期限内に終わらせる準備」が大切です。遺言の作成、不動産の共有を避ける分け方、売る不動産と残す不動産の区分けを、生前に家族で話し合っておくと安心です。
対策5:いらない不動産を生前に整理する
使う予定のない地方の土地や、再建築できない狭い土地などは、相続人が引き継いでも負担になるだけのことがあります。生前に売る、隣の人に買い取ってもらうといった方法に加え、相続後なら相続土地国庫帰属制度も選べます。審査手数料は1筆1万4千円、負担金は原則20万円(面積に応じて増える)です。ただし、建物がある土地、担保が設定された土地、境界がはっきりしない土地などは使えません。使えるかどうかは、早めに確認しておくのがおすすめです。
| 対策 | 主な効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 自宅330㎡まで80%減/貸付200㎡まで50%減 | 取得する人・居住・保有の要件 |
| 手持ちの土地の活用見直し | 評価の適正化・収益化 | 直前の貸付開始は特例の対象外となる場合あり |
| 相続時精算課税(年110万円) | 基礎控除の分は相続財産に加算されない | 選んだ後は暦年課税に戻れない |
| 納税資金・遺言の準備 | 期限内の納付と円滑な分割 | 10ヶ月の期限から逆算が必要 |
| 不要な不動産の整理 | 相続人の負担と管理コストを減らす | 国庫帰属は対象外の土地が多い |
相続後にできる「手取りを増やす」実務と期限
相続税対策は生前だけのものではありません。相続した後の動き方次第で、税金や手取りが大きく変わります。特に不動産を売るときは、相続税と譲渡所得税(売却益にかかる税金)の両方を見る必要があります。
譲渡所得税の基本と「取得費」の引き継ぎ
相続した不動産を売ったときの税率は、所有期間が5年を超えると20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下だと39.63%です。相続した不動産は、亡くなった方が取得した日と取得費(買ったときの価格)を引き継ぎます。そのため、親が長く持っていた不動産なら、相続後すぐに売っても5年超の税率になるのが一般的です。
問題は、昔の売買契約書が見つからない場合です。取得費がわからないと、売却価格の5%を概算の取得費とすることになり、税金が大きく増えることがあります。親が元気なうちに、権利証・売買契約書・建築時の領収書を探しておくだけでも、立派な対策になります。
期限のある特例を一覧で確認
| 制度・手続き | 期限・要件の目安 |
|---|---|
| 相続放棄 | 相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ。不動産だけの放棄は不可 |
| 相続税の申告・納付 | 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内(延納・物納の制度あり) |
| 取得費加算の特例 | 申告期限の翌日から3年以内の売却=相続開始から約3年10ヶ月以内 |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 2027年12月31日までの売却、かつ相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。昭和56年5月31日以前の建築などの要件。相続人3人以上は1人2,000万円 |
| 相続登記 | 取得を知った日から3年以内(2024年4月1日から義務化)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料 |
空き家の3,000万円特別控除は、2024年以降、買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しをする場合も対象になりました。古い実家を「そのまま」売りやすくなった一方で、制度の期限が2027年12月31日と決まっている点には注意が必要です。2026年後半の今から相続が起きた場合、準備の時間はそれほど長くありません。売却の流れや高く売るコツは「相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツ」で詳しく解説しています。
空き家のまま持ち続けるコスト
「とりあえず空き家のまま置いておく」選択にもコストがかかります。管理が行き届かず、特定空家等(または管理不全空家)に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例(1/6)が外れ、固定資産税が最大6倍相当になることがあります。草木の手入れ、雨漏り、防犯など、遠方に住む相続人にとって管理の負担は軽くありません。売る・貸す・残すの方針を、特例の期限内に決めることが大切です。
不動産の相続税対策を選ぶ判断手順
ここまでの内容を、実際に何から始めればよいかという手順に整理しました。順番を守ると、「節税したつもりが、かえって損をした」という失敗を避けやすくなります。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が3人なら4,800万円です。東京23区に自宅の土地があると、路線価だけでこの額に近づくことも少なくありません。まずは不動産の評価額のおおまかな目安を出します。
自宅、貸している物件、使っていない土地を一覧にし、それぞれの将来を決めます。相続人が住む予定があるか、賃貸の収支は合っているかが判断の軸です。
小規模宅地等の特例を使うために、誰が取得するのか、同居の状況はどうかを確認します。改正後は、ここが対策の中心になります。
相続時精算課税や暦年贈与の使い方を決め、遺言で分け方を残します。10ヶ月以内に納税できるか、現金の不足がないかも確認します。
売る予定の不動産は、取得費加算(約3年10ヶ月)や空き家の3,000万円控除(2027年12月31日まで)から逆算して、測量・片付け・登記の時期を決めます。
東京23区ならではの判断ポイント
東京23区の相続不動産には、地方とは違う特徴があります。たとえば、路線価が高いため小規模宅地等の特例の効果が大きくなりやすいこと、狭い土地や旗竿地、再建築できない土地、私道に面した土地など、評価と売りやすさが一致しない土地が多いことです。境界の確定や私道の通行・掘削の承諾に時間がかかり、売却のスケジュールがずれ込むこともよくあります。
当社は杉並区和田に事務所を構え、東京23区の相続不動産に特化しています。杉並区のような住宅地では、古い木造の実家、親族で共有している土地、借地・底地が絡む相続のご相談が多く寄せられます。こうした不動産は、税金の計算と同時に「実際にいくらで、どのくらいの期間で売れるか」を見ないと、正しい判断ができません。当社では税理士・司法書士と連携し、評価の確認から登記、売却までワンストップでお手伝いしています。
よくある失敗と注意点
最後に、ご相談の現場でよく見かける失敗をまとめます。事前に知っておくだけで、避けられるものがほとんどです。
- 評価額だけを見て物件を買う:改正後は評価を下げる効果が限られる見込みです。収支と出口(売却)を見ずに買うと、家族に負担が残ります。
- 不動産を共有で相続する:とりあえず兄弟で共有にすると、売る・貸す・建て替えるたびに全員の同意が必要になります。次の相続でさらに共有者が増え、話がまとまらなくなることもあります。
- 相続登記を後回しにする:登記は2024年4月から義務になりました。名義が亡くなった方のままだと、売却も活用もできません。
- 取得費の資料をなくしてしまう:概算取得費(売却価格の5%)になると、譲渡所得税が大きく増えることがあります。
- 特例の期限を過ぎてしまう:取得費加算や空き家の3,000万円控除は、期限を1日でも過ぎると使えません。相続税の申告が終わって安心しているうちに、期限が近づいているケースが目立ちます。
- 相続放棄の判断が遅れる:借金が多い場合などの相続放棄は3ヶ月以内です。不動産だけを放棄することはできず、全財産が対象になる点にも注意が必要です。
相続税の対策は、「税金を減らす」「もめない」「期限内に終える」の3つのバランスで考えることが大切です。どれか一つだけを追いかけると、ほかの2つで損をすることがあります。
まとめ:2027年改正後の不動産の相続税対策は「買う」から「整える」へ
不動産を使った相続税対策は、2027年の改正(見込み)で大きく変わります。相続の直前に賃貸物件や小口化商品を買い、評価の差で相続税を下げる手法は、効果が薄れ、否認されるリスクも高まる方向です。
一方で、すでに持っている不動産を正しく扱えば、使える対策はまだあります。自宅の土地に使う小規模宅地等の特例の要件をそろえること、相続時精算課税の年110万円の基礎控除などで計画的に贈与すること、遺言と納税資金を準備すること、相続後は取得費加算や空き家の3,000万円控除の期限から売却時期を逆算することです。特に空き家の3,000万円控除は2027年12月31日までの売却が要件のため、該当しそうな方は早めの確認をおすすめします。
どの対策が合うかは、財産の内容、家族の状況、不動産のある場所によって変わります。東京23区の相続不動産でお悩みの方は、評価・活用・売却まで一つの窓口で相談できる当社に、お気軽にご相談ください。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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