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【2026年版】相続空き家の3000万円特別控除|要件・期限・耐震の条件
2026.11.04相続コラム
親から相続した実家が空き家のまま。「売るなら税金を抑えたいけれど、相続空き家の特例は自分のケースで使えるのか」と迷っていませんか。この特例は使えれば売却益から最大3,000万円を差し引けますが、建築時期・耐震・売却期限などの要件を一つでも外すと使えません。本記事では、東京23区の相続不動産を専門に扱う当社の実務目線で、要件と期限、耐震の条件を順番に整理します。
① 相続空き家の特例は、昭和56年5月31日以前に建てられ、被相続人が一人で住んでいた一戸建てを売るときに、譲渡所得から最大3,000万円(相続人3人以上なら1人2,000万円)を控除できる制度です。
② 期限は「相続から3年を経過する日の属する年の12月31日」と「2027年12月31日」の2つの両方を満たす必要があります。2023年に相続した方は2026年末が期限です。
③ 耐震改修・解体のほか、2024年以降は買主が翌年2月15日までに改修・取壊しをする売り方でも使えます。物件と残り期間に合わせて売り方を選ぶことが、税額を左右します。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【知らなきゃ損】相続不動産売却で使える節税制度5選!税金が数百万円変わる!?
相続空き家の3000万円特例とは?制度の全体像
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。少し長いので、一般には「空き家特例」「空き家の3,000万円控除」と呼ばれます。古い空き家が放置されて危険な状態になるのを防ぐため、相続した空き家を耐震化または解体して売ることを後押しする目的で設けられました。
不動産を売って利益が出ると、その利益(譲渡所得)に税金がかかります。譲渡所得は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で計算します。相続した不動産は、被相続人(亡くなった親など)が買った日と買った金額をそのまま引き継ぐのがルールです。親が何十年も前に買った実家なら所有期間は5年超になり、税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。
困るのは、昔の売買契約書が見つからず取得費が分からないケースです。この場合は売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使うことになり、売却代金のほとんどが利益と扱われます。空き家特例は、こうして大きくなった譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、特に取得費が分からない古い実家ほど効果が大きい制度です。
どれくらい税金が変わるのか(試算例)
イメージをつかむため、シンプルな条件で試算します。売却価格3,500万円、取得費は不明(概算取得費=5%の175万円)、仲介手数料などの譲渡費用を150万円、所有期間は5年超とします。
| 項目 | 特例を使わない場合 | 空き家特例を使う場合 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 3,500万円 | 3,500万円 |
| 取得費(概算5%)+譲渡費用 | 325万円 | 325万円 |
| 譲渡所得 | 3,175万円 | 3,175万円 |
| 特別控除 | なし | −3,000万円 |
| 課税される譲渡所得 | 3,175万円 | 175万円 |
| 税額(20.315%) | 約645万円 | 約35.6万円 |
この条件では、特例の有無で税額に約600万円の差が出ます。売却価格がそれほど高くない実家でも、取得費が分からなければ同じように大きな差になり得ます。「数百万円変わる」と言われるのはこのためです。
相続人が複数いる場合の控除額
空き家特例は、空き家とその敷地を相続した相続人ごとに使える制度です。兄弟2人で共有して相続し、2人そろって売れば、それぞれが自分の持分の譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
ただし2024年以降の売却では、空き家を取得した相続人が3人以上いる場合、1人あたりの上限が2,000万円になりました。3人で共有しても合計で最大6,000万円まで控除できるので、多くの実家では十分な枠ですが、売却価格が高い23区の土地では差が出ることもあります。
なお、共有にすると売却時に全員の合意と手続きが必要になり、話がまとまらないリスクがあります。「控除額を増やすために共有にするか」「1人が単独で相続して売却代金を分けるか(代償分割)」は、税額と売りやすさの両面で比較すべきポイントです。遺産分割協議の前に試算しておくと、後から後悔しにくくなります。
相続空き家の特例の要件を一覧で確認
空き家特例の要件は「どんな家か」「相続後にどう扱ったか」「どう売ったか」の3つに分けると整理しやすくなります。一つでも欠けると使えないため、売却を決める前に順番にチェックしてください。
家屋と土地の要件
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(いわゆる旧耐震基準の時代の建物)
- 区分所有建物(分譲マンションなど)ではないこと
- 相続開始の直前に被相続人が住んでおり、ほかに住んでいる人がいなかったこと
- 土地は、その家屋の敷地として使われていたものであること
実務で特に確認が必要なのは「建築日」と「一人暮らしだったか」です。建築日は登記簿の新築年月日や建築確認の書類で確認しますが、昭和56年前後に建てられた家は判定が微妙になることがあります。また、亡くなる直前に子どもが同居していた場合は「ほかに住んでいる人がいた」ことになり、対象外となります。
被相続人が亡くなる前に老人ホームなどに入所していた場合でも、要介護認定を受けていたなどの一定の要件を満たし、入所後も家を他の用途に使っていなければ対象になり得ます。入所の経緯や、その間の家の使い方を説明できる資料を残しておくと安心です。
相続してから売るまでの要件
相続してから売るまでの間、その家と土地を事業・貸付・居住のために使っていないことが要件です。「売れるまでの間だけ貸す」「子どもが一時的に住む」といった使い方をすると、特例が使えなくなるおそれがあります。売却まで空き家のまま管理するのが原則です。
売却の要件
- 売却価格が1億円以下であること(とされています。共有の場合の判定方法を含め、税理士にご確認ください)
- 親子・夫婦・生計を一にする親族など、特別な関係にある人への売却ではないこと
- 耐震改修した家屋と土地を売るか、家屋を取り壊して土地を売ること(2024年以降は買主による改修・取壊しも可)
- 同じ不動産について、取得費加算の特例など一部の他の特例と重ねて使っていないこと
| チェック項目 | 対象になる例 | 対象外になりやすい例 |
|---|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前 | 昭和56年6月以降の建築 |
| 建物の種類 | 一戸建て | 分譲マンション(区分所有) |
| 相続直前の居住 | 被相続人が一人で居住/一定要件の老人ホーム入所 | 子どもと同居、二世帯で居住 |
| 相続後の使い方 | 空き家のまま管理 | 賃貸に出した、親族が住んだ |
| 売却先 | 第三者の個人・事業者 | 親族・同族会社など特別関係者 |
| 売却価格 | 1億円以下 | 1億円超 |
相続空き家の特例の期限は2つ:売却期限の数え方
空き家特例でいちばん見落とされやすいのが期限です。次の2つの期限の両方を満たす必要があります。
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること(相続ごとの期限)
- 2027年12月31日までに売ること(制度そのものの期限)
1つ目は「相続から3年以内」ではなく、3年を経過する日が属する年の年末までという数え方です。相続した年によって期限が変わるため、相続開始年別に整理します。
| 相続開始の年 | 相続から3年基準の期限 | 現行制度での売却期限 |
|---|---|---|
| 2022年 | 2025年12月31日 | 期限経過(原則使えない) |
| 2023年 | 2026年12月31日 | 2026年12月31日 |
| 2024年 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
| 2025年 | 2028年12月31日 | 2027年12月31日(制度期限が先) |
| 2026年 | 2029年12月31日 | 2027年12月31日(制度期限が先) |
2023年に相続した方は「今年末」が期限
表のとおり、2023年に相続した方は2026年12月31日が売却期限です。2026年10月時点で残りはわずかです。耐震改修や解体をしてから売る方法では、工事と売却活動を年内に終えるのは簡単ではありません。後述する「現況のまま売って買主が改修・取壊しをする」方法を含めて、すぐに検討を始める必要があります。
また、「いつ売ったか」を売買契約の日で判定するか、引渡しの日で判定するかによって結論が変わることがあります。年末ぎりぎりのスケジュールになりそうな場合は、契約日・引渡し日の設定を税理士と相談してから進めてください。
2025年以降に相続した方は制度期限に注意
2025年以降に相続した方は、相続から3年基準の期限よりも先に2027年12月31日の制度期限が来ます。この制度はこれまで期限の延長を重ねてきましたが、延長されるかどうかは現時点で確定していません。「まだ3年あるから」と考えて動き出しが遅れると、制度期限に間に合わないおそれがあります。延長の有無を含め、最新情報は税理士・当社にご確認ください。
期限から逆算したスケジュールの考え方
23区の戸建てでは、売り出す前に次のような準備が必要になることが多く、合計で数ヶ月かかるのが一般的です。
- 相続登記:相続人の名義にしないと売れません。2024年4月1日から相続登記は義務になり、取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります
- 測量・境界確定:隣地との境界が確定していないと、買主や金融機関から求められることがあります。隣地所有者の立会いが必要で、時間がかかりやすい工程です
- 残置物の撤去:家財が残ったままでは内覧や解体が進みません
- 耐震改修・解体の見積りと工事:業者の手配から工事完了まで一定の期間が必要です
さらに、空き家のまま放置して自治体から特定空家等(または管理不全空家)に指定され、勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(1/6)が外れて税負担が最大6倍相当になります。期限の面でも維持費の面でも、相続空き家は「早めに方針を決める」ほど有利です。
耐震の条件と「売り方」3パターン
空き家特例は、古い家をそのまま売るだけでは使えません。「耐震性のある家として売る」か「家をなくして土地として売る」ことが前提です。2024年の改正で選択肢が増え、現在は次の3パターンがあります。
パターン1:売主が耐震改修してから売る
売主が家屋を現行の耐震基準に適合するよう改修し、家と土地をセットで売る方法です。耐震基準に適合していることを証明書類で示す必要があります。家を活かして売りたい場合の選択肢ですが、旧耐震の木造住宅は改修範囲が広くなりやすく、費用は建物の状態によって大きく変わります。改修費をかけても売却価格がそれほど上がらないこともあるため、複数の見積りと査定を比べてから判断するのが基本です。
パターン2:売主が解体して更地で売る
売主が家屋を取り壊し、土地だけを売る方法です。23区では土地の需要が強く、建て替えを前提とした買主にとっては更地のほうが計画を立てやすいため、実務上よく選ばれます。一方で、解体費用を売主が先に負担すること、解体後に売れ残ると住宅用地特例の対象外となり固定資産税が増える可能性があることには注意が必要です。毎年1月1日時点の状況で課税されるため、年をまたぐタイミングの解体は慎重に判断しましょう。
パターン3:現況のまま売り、買主が改修・取壊しをする(2024年〜)
2024年1月1日以降の売却では、売却した年の翌年2月15日までに買主が耐震改修または取壊しを行えば、売主は家を現況のまま売っても特例の対象になり得ます。売主は工事費を立て替える必要がなく、残り期間が短い場合にも検討しやすい方法です。
ただし、工事をするのは買主です。買主の工事が期限までに終わらなければ、売主が特例を受けられないおそれがあります。そのため、売買契約書に「買主が翌年2月15日までに取壊し(または耐震改修)を行うこと」「完了後に証明書類を売主へ提供すること」などを明記し、工事の実行力がある買主を選ぶことが重要です。
| 比較項目 | ①売主が耐震改修 | ②売主が解体 | ③買主が改修・取壊し |
|---|---|---|---|
| 工事費の負担 | 売主(先払い) | 売主(先払い) | 買主(価格に反映されることが多い) |
| 売り出しまでの期間 | 長め | やや長め | 短め |
| 向いている物件 | 建物の状態が良く、家として需要がある | 土地として需要が高い整形地 | 期限が近い、工事費を立て替えたくない |
| 主な注意点 | 改修費に見合う価格になるか | 売れ残り時の固定資産税 | 買主の工事遅延リスク・契約条項 |
どのパターンが有利かは「土地として売るか家として売るか」「残り期間」「手元資金」で決まります。たとえば杉並区のような住宅地では、古家付きの土地を建て替え前提で購入したい買主が多く、パターン3と相性が良いケースも少なくありません。逆に、再建築に制約がある土地では解体が不利に働くこともあるため、売り方は物件ごとに見極める必要があります。
空き家特例を使うための手続きの流れ
相続から確定申告までの流れを6つのステップで整理します。税務・登記・売却が並行して進むため、全体像を最初に押さえておくと段取りがスムーズです。
登記簿で建築年月日を確認し、被相続人が相続直前に一人で住んでいたか(住民票の除票など)、老人ホーム入所の有無、相続後に貸したり住んだりしていないかを確認します。ここで対象外と分かれば、取得費加算など他の制度の検討に切り替えます。
誰が相続するか(単独か共有か)を決め、相続登記を行います。相続人3人以上で共有すると1人あたりの控除上限が2,000万円になる点も踏まえて決めます。
家として・土地として・古家付きとして、それぞれの査定額と工事費を比べ、3パターンのどれで売るかを決めます。期限から逆算したスケジュールもこの段階で固めます。
買主が親族など特別な関係者でないことを確認し、売却価格1億円以下の要件も確認します。買主が工事をする場合は、工事内容・期限・書類提供を契約書に明記します。
売主または買主が工事を行い、耐震基準への適合を示す書類や、取壊しを確認できる書類をそろえます。
家屋所在地の市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を申請し、売却した翌年の確定申告で特例を申告します。特例は申告しなければ適用されません。
ステップ6の確認書は、東京23区では各区の窓口で申請します。申請には被相続人の住民票の除票や、空き家だったことを示す資料(電気・水道の使用状況が分かるものなど)が求められることがあります。「相続後に空き家だった」ことを後から証明するのは意外と手間がかかるため、公共料金の明細や管理の記録は捨てずに保管しておきましょう。必要書類は区によって異なることがあるので、事前に確認しておくと安心です。
売却全体の流れや、空き家特例以外の税金・手順については相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
空き家特例が使えない・損しやすいケースと注意点
取得費加算の特例とはどちらか一方を選ぶ
相続税を納めた方は、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」も候補になります。こちらは相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)の翌日から3年以内、つまり相続開始から約3年10ヶ月以内の売却が要件です。ただし、同じ不動産について空き家特例と取得費加算の特例は重ねて使えず、どちらかを選ぶことになります。
多くの場合は控除額の大きい空き家特例が有利になりやすいですが、相続税額が大きい方や、空き家特例の要件を一部満たさない方は、取得費加算のほうが有利になることもあります。両方を試算して比べてから選ぶのが賢明です。なお、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、これ以下なら相続税はかからず、取得費加算の特例も使えません。
要件を崩してしまう典型的な行動
- 売れるまでの間だけ賃貸に出した:相続後に貸付の用に使うと対象外になるおそれがあります
- 子どもが一時的に住んだ:相続後の居住も同様に要件を崩します
- 親族に安く売った:特別な関係にある人への売却は対象外です
- 耐震改修も解体もせず、買主にも工事を求めない契約にした:現況のまま引き渡して誰も工事をしなければ使えません
- 確定申告をしなかった:要件を満たしていても、申告しなければ控除は受けられません
特に「売れるまで貸しておけば固定資産税の足しになる」という考えは、空き家特例の観点では大きな損につながりかねません。一度貸してしまうと後から取り消せないため、使い方を変える前に急がずに、まず専門家に相談することをおすすめします。
東京23区ならではの実務の勘所
23区の相続空き家には、地方とは違う特徴があります。代表的なのは、敷地が狭い、道路に2m以上接していない(再建築不可)、旗竿地、借地の上の建物、隣地との境界が曖昧、といったケースです。
たとえば再建築不可の土地で家を解体すると、新たに家を建てられない土地になり、買い手が大きく限られることがあります。この場合は、家を残したまま耐震改修して売る、または買主が改修する前提で売るなど、解体以外の選択肢を検討する必要があります。また、木造住宅が密集する地域では解体工事の近隣対応や工期の調整にも時間がかかり、期限が迫った案件ほど影響が大きくなります。
当社は杉並区和田に拠点を置き、東京23区の相続不動産に特化しています。税理士・司法書士・解体業者と連携し、要件の確認から相続登記、売り方の選択、売買契約の工事条項、確定申告に向けた書類準備までをワンストップでサポートしています。「この家は空き家特例の対象になるのか」という段階からご相談いただけます。
まとめ:相続空き家の特例は「要件の確認」と「期限からの逆算」がカギ
相続空き家の特例(3,000万円特別控除)は、取得費が分からない古い実家を売るときほど効果が大きく、条件によっては税額が数百万円単位で変わる制度です。一方で、建築時期・被相続人の一人暮らし・相続後の使い方・売却先・売却価格など要件が細かく、一つでも外すと使えません。
- 対象は昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てで、被相続人が一人で住んでいた家。控除は最大3,000万円、相続人3人以上なら1人2,000万円
- 期限は「相続から3年を経過する日の属する年の12月31日」と「2027年12月31日」の両方。2023年に相続した方は2026年末が期限
- 売り方は「売主が耐震改修」「売主が解体」「買主が翌年2月15日までに改修・取壊し」の3パターン。物件と残り期間に合わせて選ぶ
相続した空き家は、時間がたつほど期限が迫り、固定資産税や管理の負担も重くなります。「特例が使えるか分からない」「どの売り方が得か判断できない」という段階でも、早めに動くことで選べる選択肢が増えます。相続空き家の特例の適用可否や売却の進め方は、税理士・当社にお気軽にご相談ください。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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