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【2026年版】空き家の解体費用の相場|補助金と「解体せず売る」判断基準
2026.10.28相続コラム
親から相続した実家が空き家になり、「このまま置いておくより、解体して更地にしたほうが売れるのでは」と考えていませんか。空き家の解体費用は決して安くありません。しかも、解体すると税金や売却価格に思わぬ影響が出ることがあります。この記事では、2026年時点の解体費用の相場と補助金の探し方に加えて、そもそも「解体するべきか、解体せずに売るべきか」の判断基準を、相続不動産の実務の視点で解説します。
空き家の解体費用は、構造・延床面積・立地によって大きく変わります。東京23区では、狭い道路や隣家との距離の近さから手壊し作業が増え、地方より割高になりやすいのが実情です。一方で、解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れたり、再建築不可の土地では価値が大きく下がったりするリスクがあります。解体業者に見積もりを頼む前に、まず不動産会社に「古家付きのまま売った場合」の査定を取るのがおすすめです。解体するかどうかは、売却後の手取り額を比べてから決めても遅くありません。
▲ 当社YouTube「相続不動産の教科書」より|【要注意】「古い家は売れない」はウソ?悪質不動産の“解体ゴリ押し”に騙されるな!
【2026年版】空き家の解体費用の相場|構造別の目安と内訳
解体費用は「坪単価×延床面積」で大まかに見積もられることが多いです。ただし、この坪単価に含まれるのは建物本体を壊して廃材を処分するまでの「本体工事」だけです。実際の請求額には付帯工事や諸経費も加わります。まず構造別の目安を押さえ、そのうえで総額に影響する要素を見ていきましょう。
構造別の坪単価の目安
以下は、解体業界で一般的な目安として語られることが多い水準です。人件費や産業廃棄物の処分費は近年上がる傾向にあり、地域や時期、業者によって幅があります。あくまで「予算感をつかむための参考値」としてご覧ください。
| 構造 | 本体工事の坪単価(目安) | 30坪の場合の本体工事(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 約3万〜5万円 | 約90万〜150万円 | 相続空き家で最も多い。比較的安いが、狭小地では割高に |
| 鉄骨造 | 約4万〜6万円 | 約120万〜180万円 | 鉄骨の切断・搬出に手間がかかる |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 約6万〜8万円 | 約180万〜240万円 | 騒音・振動対策や大型重機が必要で高額になりやすい |
本体工事以外にかかる費用(ここで総額が膨らむ)
見積書を見て「坪単価から計算した額よりずっと高い」と驚く方は少なくありません。総額を押し上げるのは、主に次の費用です。
- 残置物(家財)の処分費:家具・家電・衣類・食器などが残ったままだと、解体業者が産業廃棄物として処分するため割高になります。相続した実家では、ここが大きな金額になりがちです。
- 付帯工事費:ブロック塀、門扉、カーポート、物置、庭木・庭石、井戸、浄化槽などの撤去費用です。
- アスベスト(石綿)の調査・除去費:解体工事の前には、アスベストの有無を事前に調べることが法律で義務づけられています。含まれていれば、除去費用が追加でかかります。
- 地中埋設物の撤去費:解体後に古い基礎やコンクリート片、浄化槽などが地中から見つかると、追加の費用が請求されることがあります。
- 諸経費:足場や養生シートの設置、近隣へのあいさつ、ガードマンの配置、道路使用の許可申請などにかかる費用です。
とくに注意したいのが地中埋設物です。見積もりの時点では見えないため、「埋設物が見つかった場合の追加費用の扱い」を契約前に書面で確認しておくことが、後のトラブル防止につながります。
東京23区で解体費用が高くなりやすい理由
当社は杉並区和田を拠点に、東京23区の相続不動産を専門に扱っています。その実務の感覚でいうと、23区の空き家の解体は、同じ延床面積でも郊外や地方より費用がかさむ傾向があります。主な理由は次のとおりです。
- 前面道路が狭い:幅4m未満の道路や行き止まりの路地では大型重機やトラックが入れず、小型重機での作業や手作業での解体(手壊し)が増えます。
- 隣の家との距離が近い:隣家との間がわずかしかない住宅地では、養生や騒音・粉じん対策を手厚くする必要があります。
- 搬出の効率が悪い:トラックを近くに停められないと、廃材の運び出しに時間と人手がかかります。
- 交通誘導員が必要:交通量の多い道路に面していると、ガードマンの配置が求められることがあります。
杉並区・中野区・世田谷区などに多い、細い路地の奥にある古い木造住宅では、坪単価が一般的な目安の上限を超えることも珍しくありません。インターネット上の相場だけで判断せず、現地を見てもらったうえでの見積もりを前提に考えましょう。
空き家の解体費用を抑える方法と補助金の探し方
解体すると決めた場合でも、工夫しだいで費用を抑えられる余地はあります。ここでは、実務でとくに効果の大きい方法を紹介します。
自治体の解体補助金・助成金を確認する
東京23区の多くの区では、空き家対策や防災の観点から、解体費用の一部を助成する制度を設けています。代表的なものは次のような制度です。
- 倒壊などの危険がある老朽空き家の除却(取り壊し)への助成
- 木造住宅が密集した地域で、燃えにくいまちをつくるための老朽建物の除却助成
- 耐震性が不足する建物を取り壊す場合の助成
ただし、対象となる建物の条件、助成額の上限、受付期間、予算の枠は区ごとに大きく異なり、年度によっても変わります。また、ほとんどの制度で工事の契約や着工の前に申請することが条件になっています。先に解体業者と契約してしまうと、助成を受けられなくなるおそれがあります。具体的な金額や条件は、所在地の区役所の窓口やホームページで最新の情報をご確認ください。
残置物は自分で減らし、見積もりは複数社から取る
費用を下げる効果が大きいのは、次の3つです。
- 残置物を事前に減らす:家庭ごみとして出せるものは自治体の収集に出し、売れるものはリサイクルショップや買取業者に引き取ってもらいます。解体業者にまとめて任せるより、総額が下がることが多いです。
- 相見積もりを取る:同じ建物でも、業者によって見積額に差が出ることがあります。2〜3社から見積もりを取り、総額だけでなく項目ごとの内訳を比べましょう。
- 直接依頼を検討する:ハウスメーカーや工務店を通すと、仲介の手数料が上乗せされる場合があります。解体業者に直接依頼する方法も選択肢になります。
見積書を比べるときは、「一式」とまとめて書かれた項目が多い業者に注意が必要です。アスベストの調査費、残置物の処分費、付帯工事、地中埋設物が見つかったときの扱いが明記されているかを確認してください。極端に安い見積もりは、後から追加請求されたり、廃棄物が不法投棄されたりするリスクもあります。建設業許可または解体工事業の登録を受けているかも、任意ではありますが確認しておくと安心です。
解体する前に知るべき税金・法律の落とし穴
解体費用そのものより影響が大きくなりやすいのが、税金と法律の問題です。「解体したほうが売りやすい」と考えて先に更地にした結果、損をしてしまうケースは少なくありません。
更地にすると固定資産税が上がる
住宅が建っている土地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税の課税標準が最大で6分の1に軽減されています。建物を解体して更地になると、この特例の対象外になり、土地の固定資産税が上がるのが一般的です。固定資産税は毎年1月1日時点の状況で課税されるため、年末に解体して翌年に売れ残ると、税額が上がった状態で保有し続けることになります。
ただし、建物をそのまま放置していればよいわけではありません。管理が不十分で「特定空家等」や「管理不全空家」に指定され、勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地特例が外れ、税負担が最大6倍相当になることがあります。解体しない場合も、最低限の管理は続ける必要があります。
再建築不可の土地は解体すると価値が大きく下がる
建築基準法では、建物を建てる土地は原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります(接道義務)。古い住宅地には、この条件を満たさない「再建築不可」の土地が少なくありません。再建築不可の土地で建物を解体すると、新しい建物を建てられない更地が残ることになり、売却価格が大きく下がるおそれがあります。
建物を残しておけば、リフォームして住む・貸す目的の買主や、隣地の所有者に売れる可能性があります。解体業者に連絡する前に、不動産会社に接道や建築の可否を調べてもらうことを強くおすすめします。セットバック(道路の幅を確保するために敷地の一部を後退させること)が必要な土地も、有効に使える面積が変わるため、事前の確認が欠かせません。
3,000万円特別控除と解体のタイミング
相続した空き家の売却では、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」を使えるかどうかで、手取り額が大きく変わります。主な要件は次のとおりです。
- 2027年12月31日までに売却すること
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること(ほかにも要件があります)
- 耐震改修をするか、建物を取り壊して売ること
以前は売主が売却前に耐震改修や取り壊しをする必要がありましたが、2024年以降は、買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しをした場合も対象になりました。つまり、売主が先に解体しなくても、古家付きのまま売って特例を使える道があります。なお、相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります。
この特例を使わずに売却すると、売却益には譲渡所得税がかかります。相続した不動産は被相続人の取得日と取得費を引き継ぐため、親の代から長く所有していれば、所有期間5年超の税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が適用されます。5年以下の場合は39.63%です。取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算の取得費とできますが、税額が大きくなりやすいため、売買契約書などの資料を探しておきましょう。要件の当てはまり方はケースごとに異なりますので、税理士・当社にご確認ください。
「解体せず売る」か「解体して売る」か|空き家の解体費用をかける前の判断基準
ここまで見てきたとおり、解体には費用だけでなく、税金や売却価格への影響があります。冒頭の動画でもお伝えしているように、「古い家は売れないので解体しましょう」と解体を強く勧められても、すぐに従う必要はありません。建て替えを前提とする買主や不動産会社は、古家付き土地を買って自分で解体することに慣れています。まずは2つの売り方を比べてみましょう。
| 比較項目 | 古家付き土地として売る(解体しない) | 更地にして売る(解体する) |
|---|---|---|
| 売主の先行負担 | 解体費用がかからない | 解体費用を売却前に支払う |
| 固定資産税 | 住宅用地特例が続く(適切に管理している場合) | 特例が外れ、税額が上がる |
| 売却価格 | 解体費用相当の値引きを求められることがある | 土地の価値をそのまま評価されやすい |
| 買主の層 | 建て替え前提の個人、不動産会社、リフォーム前提の買主 | 注文住宅を建てたい個人、建売業者など幅広い |
| 再建築不可の土地 | 建物を活かして売れる可能性がある | 価値が大きく下がるおそれ |
| 地中埋設物などのリスク | 契約条件で売主の責任を限定しやすい | 解体中に見つかれば売主が費用を負担 |
解体せずに売ることを優先して検討したいケース
- 再建築不可、またはセットバックが必要など、建築上の制約がある土地
- 売却までに時間がかかる可能性があり、固定資産税の負担増を避けたい
- 解体費用を手元の資金で用意するのが難しい
- 建物の状態が比較的よく、リフォームすれば住める・貸せる
- 3,000万円特別控除を、買主側の取り壊しで使える見込みがある
解体してから売ることを検討したいケース
- 建物の老朽化が激しく、倒壊や外壁の落下など近隣に危険が及ぶおそれがある
- 特定空家等に指定されるリスクが高い
- 土地の形がよく、注文住宅を建てたい個人の買主に早く売れる見込みがある
- 買主から更地での引き渡しを条件として求められている
判断のポイントは、「解体費用を払ったぶん以上に、売却価格や売れる速さが改善するか」です。解体すれば高く売れるとは限りません。当社では、古家付きで売った場合と更地で売った場合の両方の査定額を出し、解体費用・税金・固定資産税を差し引いた手取り額で比べてご提案しています。また、更地での引き渡しが条件の場合でも、売買契約が決まってから解体する流れにすれば、売れ残って税負担だけが増えるリスクを抑えられます。
相続した空き家を解体・売却するまでの手順
相続した空き家を売却するまでの流れを、解体の判断も含めて整理します。順番を間違えると、補助金を受けられなかったり、税金の特例を使えなかったりすることがあります。
空き家を売却・解体するには、相続人の名義になっている必要があります。2024年4月1日から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
古家付きのまま売った場合と更地にした場合の査定額、再建築の可否、接道の状況、セットバックの要否を確認します。解体業者より先に相談するのがポイントです。
3,000万円特別控除や取得費加算の特例の要件を満たすかを確認し、売却の時期と方法を決めます。具体的な税額は税理士にご確認ください。
区の助成制度の対象になるか確認し、必要なら工事の契約前に申請します。並行して2〜3社から見積もりを取り、内訳と追加費用の条件を比べます。
家財を整理し、思い出の品や重要書類(権利証、売買契約書など)を回収します。解体する場合は、工事前に近隣へのあいさつを業者と一緒に行うと、トラブルを防ぎやすくなります。
更地で引き渡す場合は、契約後に解体し、建物の滅失登記を済ませてから引き渡すのが一般的です。滅失登記は土地家屋調査士に依頼することもできます。
とくに大切なのは手順2です。解体業者は「解体するかどうか」ではなく「どう解体するか」を提案する立場にあります。解体するかどうかの判断は、売却の出口が見えている不動産会社と一緒に行うほうが、結果的に手取り額を増やしやすくなります。
相続した空き家ならではの注意点
相続した空き家には、通常の売却にはない期限や手続きがあります。解体を考える前に、次の点も確認しておきましょう。
相続税の申告と取得費加算の特例の期限
相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、遺産の総額がこれを超える場合は申告が必要です。
相続税を納めた方が相続した不動産を売却する場合、「取得費加算の特例」により、納めた相続税の一部を取得費に加えて譲渡所得税を減らせる可能性があります。この特例は、相続税の申告期限の翌日から3年以内、つまり相続開始から約3年10ヶ月以内の売却が要件です。なお、取得費加算の特例と3,000万円特別控除は併用できないため、どちらが有利かは税理士・当社にご確認ください。解体するかどうか迷っているうちに期限を過ぎないよう、売却のスケジュールから逆算して判断することが大切です。
共有名義の空き家は合意形成に時間がかかる
兄弟姉妹で空き家を共有している場合、解体も売却も原則として共有者全員の合意が必要です。「解体費用を誰がどれだけ負担するか」で話がまとまらず、そのまま放置されるケースは少なくありません。解体費用は売却代金から精算する形にすれば、誰かが先に立て替える負担を減らせることがあります。古家付きで売れば解体費用を先に払う必要がないため、合意を得やすいという利点もあります。
売れない・使わない土地の選択肢
買い手が見つかりにくい土地については、相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日開始)で国に引き取ってもらう方法もあります。ただし、建物がある土地は対象外のため、利用するには解体が前提です。さらに、審査手数料(1筆1万4千円)と負担金(原則20万円、面積に応じて増額)がかかり、境界が不明な土地や担保権が付いた土地なども対象外です。東京23区の土地は、条件を工夫すれば買い手が見つかることも多いため、国庫帰属を検討する前に売却の可能性を確かめてみてください。
また、まだ相続開始から3ヶ月以内で、空き家を含めて借金などのマイナスの財産が多い場合は、相続放棄という選択肢もあります。ただし、相続放棄は家庭裁判所への申述が必要で、不動産だけを放棄することはできず、すべての財産が対象になります。
相続した不動産の売却全体の流れや税金、高く売るためのコツについては、相続した不動産の売却完全ガイド|税金・手順・高く売るコツで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
まとめ:空き家の解体費用をかける前に「売り方」を決めよう
空き家の解体費用は、木造か鉄骨造かといった構造や延床面積だけでなく、残置物の量、付帯工事、アスベストの有無、前面道路の幅などで大きく変わります。東京23区では、狭小地や細い路地での手壊し作業が増えるため、一般的な相場より割高になりやすい点に注意が必要です。補助金を使う場合は、工事の契約前に区へ申請することを忘れないでください。
一方で、解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れ、再建築不可の土地では価値が大きく下がるおそれがあります。3,000万円特別控除も、2024年以降は買主が取り壊せば使えるケースがあるため、「解体しないと特例が使えない」とは限りません。
大切なのは、解体業者に見積もりを頼む前に、古家付きで売った場合と更地にして売った場合の手取り額を比べることです。株式会社Best toは杉並区和田を拠点に、東京23区の相続不動産を専門に、査定から税理士・司法書士との連携、解体の手配、売却までをワンストップでサポートしています。「解体すべきか迷っている」という段階でも、お気軽にご相談ください。
相続した不動産、売る前にまずご相談ください
株式会社Best toは、東京23区に特化した不動産の売買仲介会社です。相続に強い体制で、「売るべきか・いつ・どう売るか」を税務・法務まで含めてご提案します。査定・ご相談は無料です。
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